匂いと香りと、、、

源氏物語のなかにこのような記術がある。今で言う室内の香りは空香と呼ばれ、薫香を焚き良い香りを漂わせるのである。ある法要で煙一杯にけむたいほどこの空焚きをしている。このありさまに源氏はこんなことをいう。空薫物はどこから薫ってくるのだろう、と、わからぬほどにたくのがよいのだ。あの、富士山の噴煙よりもひどくけぶるようでは、本来の心がけからはずれてしまう。と。貴族作法の優雅さと折しも御嶽山の噴煙に重なりいつの世も同じ。ほのか、そこはかとなくが良い香り。

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